SSBB便り
2025.12.22
江川英龍公
江川英龍(ひでたつ)は江戸時代後期の幕臣で伊豆国韮山(にらやま)代官です。通称の太郎左衛門又は坦庵(たんなん)の名でも知られている静岡県の名士です。

自画像

韮山反射炉にある銅像
江川家は鎌倉時代以来の歴史を誇る家柄で、代々の当主は太郎左衛門を名乗り、江戸時代には伊豆韮山代官として天領の民政に従事したのです。英龍はその36代目の当主に当たります。
日本列島周辺に欧米の列強の船舶がしきりに出没するようになった時代において、洋学とりわけ近代的な海防の手法に強い関心を抱き、反射炉を築き、日本に西洋砲術を普及させました。地方の一代官でしたが海防の提言を行い、ペリー来航直後に品川台場(お台場)を築造しました。
その後、武器製造に欠かせない鉄鋼を得るため反射炉の建造に取り組み始めましたが、あまりの激務に体調を崩し、安政2年(1855)に病死しています。そして韮山反射炉は息子の代で完成しています。
もう一つ、国防上の観点からパンの効用に日本で初めて着目して兵糧パン(堅パンに近いもの)を焼いた人物で、日本のパン業界から「パン祖」と呼ばれています。

重要文化財 江川邸。年末年始と毎週水曜日休館日以外は毎日公開されています(有料)

江川邸正門をくぐるとそこはもう江戸時代

2015年、ユネスコの世界遺産に登録された韮山反射炉。鉄のフレームは1957年に保存工事で追加されたもの

韮山反射炉で作られた大砲
伊豆市民オペラ協会はこの江川英龍(坦庵)を題材にしたオペラを2000年に初上演し、その後も海外も含めて何回も上演しています。(下図の協会のあゆみ参照)
特に今年は「韮山反射炉 世界遺産登録10周年」と銘打って先日12/6、7に韮山時代劇場(韮山文化センター)で上演されました。(下図のパンフ参照)
上演した2時間半以上に及ぶ動画はYouTubeにで公開されているので次のURLからご覧いただけます。
www.youtube.com/watch


この様に、私たちの近くに偉大な先人がいたことを改めて認識しました。そのことは伊豆地方だけにとどまらず、東京都港区が運営するKissポート財団の「港区の偉人」の中でも江川英龍が紹介されています。
www.kissport.or.jp/spot/tanbou/1604/
そして、プロではない役者、音楽家etc.による長編オペラの長期に亘る上演は他に類を見ない活動で貴重な存在です。小生は今回初めて鑑賞しましたがリピーターになるのは間違いないです。
皆様も近い将来、機会があれば是非ご覧ください。
By【S.H】

